【地方財政状況の逼迫に係る意見について】
愛媛県新型コロナウィルス対策推進協議会
(記者会見資料⑧)
これは地方財政基盤を逼迫させる臨時財政対策債の性格上の問題を挙げるとともに、課題解決の必要性を問題提起するものです。
地方交付税とは、各自治体住民が一定水準の行政サービスを受けるための財源保障をする制度であり、自治体間で偏在する財源の均衡化を図る調整機能を持ち合わせたものです。
当初は、国が地方に対して配当していたものですが、国の財政状況も逼迫し、財政難になったことから、国の特別会計で財源不足分を起債(借金)する措置をとり、各自治体へ配当する形へと変化し、約20年前からは国ではなく、各自治体自らが起債することで団体ごとの起債額(借金)を「見える化」した現在の形となりました。この起債が、臨時財政対策債というものです。
しかしながら、借金返済費用(償還財源)には後年度の交付税で措置されるため、「実質借金は国が返すから」という概念により、各自治体が安心してしまっていることが地方における財政状況の問題点ではないかと考えています。実際は、どこで借りようとすべて税金で賄われるものであり、結局のところは後年度で処置というのは、税収の前倒しということで、毎年借金は膨らんでいく一方です。
また、交付税措置という言葉にはカラクリがあり、交付税として分配するということではなく、基準財政需要額へ措置分を算入するということを指しています。この基準財政需要額は、標準的な行政運営を行うにあたって最低限必要とされる財政経費のことで、
各自治体へ配分される地方交付税の基準になるものです。これに対して、基準財政収入額(標準的に運営している状態で徴収が見込まれる税収の75%+地方譲与税)という自治体のベースとなる財源が不足している場合には、地方交付税で補填されることになっており、財政的に豊かな地域・貧しい地域で差異が生じないよう、
住民が健康で文化的な一定水準の行政サービスを受けられるよう調整される仕組みとなっていますが、上記のとおり地方交付税自体が不足している状態なので臨時財政対策債(地方交付税の代替財源)で補填されています。
また、この基準財政収入額と地方交付税はあくまである一定基準のもとで算出された額に過ぎず、各自治体の財政状況に合わせて算出されたものではないため実質的に必要な額とは差額が生じたりもしております。これらは地方交付税に対する問題でもあるでしょう。